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本作は、アカデミー賞外国語映画賞を受賞したドイツ映画。←言うまでもないくらい有名だが……(苦笑)
見よう見ようと思っていた作品。2時間以上の長編なので、どうも二の足を踏んでしまっていた。
<解説>
1984年、国家を信じ忠実に仕えてきた共産圏の役人が、盗聴器を通して自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。監督はのフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。出演はウルリッヒ・ミューエ。
善き人のためのソナタ(2006) - goo 映画
観終わった後、悲しい最期を迎えた者もいたのに、悲しみよりも希望を感じた。
高級官僚から一介の郵便配達夫になった主人公が、書店のレジで言った言葉に「救い」を感じたからだ。
凍った心を氷解させる音楽・文学の力。社会的地位よりも人間としての良心を選択したことへの結末。
それを「愚か」ととるか「青臭い」ととるか「誠実」ととるかは、鑑賞者のあなた自身が決めることなのだろう。
「社会主義のため」「国家のため」というのは建前で、本音は自己の出世。周囲はそんな人間ばかり。
そんなことに気づくと、ふと自分自身のしていることに疑念が生じる。
この点、よく分かる。私利私欲を捨てて、組織や思想や信仰に純粋であろうとすると、周囲から浮いてしまう。
20代の頃、経験したなあ(苦笑) それ以来、「組織」というものから一歩距離を置くようにしてます。
「組織」というものの有用性は認めるものの、それに過度の信頼を置くと「人間のための組織」ではなく「組織のための人間」として機能してしまうことが恐ろしい。
ウルリッヒ・ミューエが演じるヴィースラー大尉は、まさに純粋な「国家」あるいは「体制」への奉仕者。
おそらくこのような人が、拷問や虐待を「忠実」かつ「真面目」に行うのだろう。
劇作家,ゲオルク・ドライマンの暗号名は「ラズロ」。これは映画『カサブランカ』で反ナチ運動の地下組織のリーダー、ビクター・ラズロからとったのでは?。
また、彼の恋人で女優のクリスタ=マリア・ジーラントの暗号名は「マルタ」。これは、旧チェコスロバキアで革命のシンボル曲となった『ヘイ・ジュード』をカバーした歌手、マルタ・クビショヴァからとったのでは?
もし、そうだとしたらなかなか芸の細かい監督である。
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